筋肉 その2 筋肉の性質と操作感覚

筋肉 その2 筋肉の性質と操作感覚

タイトルを見ると難しそうな感じがするかもしれませんが、そうでもないです(笑)。

筋肉は収縮して力を発揮する

筋肉は、その長さを短くしようと収縮することにより力を発揮します。

肘関節を動かす場合を考えると、身体の表側(手のひら側)に付着している上腕二頭筋が縮むことにより肘関節が曲がります。この際、身体の裏側(手の甲側)に付着している上腕三頭筋は引き伸ばされます。
反対に、肘関節を伸ばす場合は、上腕三頭筋が縮むことにより肘が伸びます。この際、上腕二頭筋は引き伸ばされます。

また、手首を動かないように固定された状態で肘を曲げようとした場合でも、肘が曲がらないので上腕二頭筋の長さは変わりませんが、筋を短くしようと収縮しようとするので、力を発揮します。

同様に、肘を曲げようとした場合で、曲げようとする力よりもさらに強い力で手首を引っ張られた場合も、肘の角度が大きくなって上腕二頭筋の長さは見た目では長くなっていきますが、筋を短くしようと収縮しようとしているので力を発揮しています。

このように、筋肉は、縮む場合はもちろん、引き伸ばされる場合でも、その長さを短くしようと収縮することにより力を発揮します。

筋トレはどの部位を鍛えるかを意識して筋肉を動かすことが大切

このことを踏まえて、例えば、女性が引き締めたい部位の1つである二の腕のトレーニングについて考えてみます。引き締めたいのは裏側(上腕三頭筋)になります。

上腕三頭筋を鍛えるためには、肘を伸ばす際に負荷がかかる動作(トライセプス・キック・バックなど)をしなくてはいけませんが、ダンベルやバーベル、チューブなどでカール(肘を曲げる際に負荷がかかる種目)をしてしまっては、表側の上腕二頭筋を鍛えることになるので、目的と違う部位を鍛えることになってしまいます。

ネットなどで色々な情報が出回っているので、上腕三頭筋を鍛えようとしてカールをするという方はそうそういないと思いますが、筋肉の性質を知り、なぜその動作をしたらその部位が鍛えられるのかを理解すると、トレーニングの効率がよくなります。

別の言い方をすると、ターゲットとする部位を鍛えるためにはどのような動きをすればよいかを考えれば、トレーニングの効率がよくなるでしょうし、いろいろと工夫を凝らしたトレーニングをすることができるでしょう。

筋トレは、ただ漠然と動作をこなしただけでは効果はあまり期待できません。どこを鍛えるかを意識して筋肉を動かすことがとても大切です。

このことをちょっと専門的に言うと、トレーニングの「意識性の原則」と言います。

なお、「意識性の原則」は、「トレーニングの5原則」のうちの1つで、トレーニングを行う上で欠かせないポイントとなります。
「トレーニングの5原則」は、「意識性の原則」のほかに「全面性の原則」「漸進性の原則」「反復性の原則」「個別性の原則」がありますが、このページでは解説しません。気なる方はググり給へ。

「力を込めている」という感覚

例えば、パンチを打つ時、思いっきり「力を込めて」打とうと思うと、逆にスピードが遅くなります。

というのは、「力を込めている」という感覚は、肘を曲げる働きである上腕二頭筋を収縮させている感覚だからです。

パンチ動作における上腕三頭筋と上腕二頭筋の働きを説明した図
腕に「力を込める」感覚は、肘を曲げる働きの上腕二頭筋が収縮している感覚なので、パンチ動作においてはブレーキをかけてしまうこととなり、パンチが遅くなってしまう。

パンチは肘を伸ばす動作なので、肘を曲げる動作である上腕二頭筋が収縮すると、肘を伸ばす動作に対してブレーキをかけることになってしまうため、スピードが遅くなるわけです。

このことをちょっと専門的に言うと、「上腕三頭筋の拮抗筋である上腕二頭筋が働いてパンチのスピードが遅くなる」という感じでしょうか。
「上腕三頭筋と上腕二頭筋は拮抗の関係である」というように、反対の動きをする筋肉の関係を表す際に、「拮抗」や「拮抗筋」という言葉を使います。

なので、パンチを打つなどの肘を伸ばす動作をする際には、上腕に「力を込めている」という感覚があってはいけないのです。

ボクシングの試合で、疲労困憊の状態で力を込めていない(込められない)何気ないパンチで相手を倒したということをよく聞きますが、疲れなどで無駄な力み(上腕二頭筋の働きによるブレーキ)がなくなり、力が相手にしっかりと伝わったからだと考えられます。

胸(大胸筋)、腹(腹直筋)、上腕二頭筋、大腿四頭筋(太もも前)など、身体の表側にある筋肉は、力を込めているという感覚を容易に感じられると思います。
逆に、背中(広背筋)、上腕三頭筋、ハムストリングス(太もも裏)など、身体の裏側の筋肉は、力を込めているという感覚を感じることが難しいと思います。

身体の裏側は表側の3倍鍛えましょう

身体の裏側にある筋肉、特に広背筋は、自分で見ることが難しく(筋肉の動きを確認するのが難しく)、収縮していることを認識するのも難しく、意識をすることが難しいため、鍛えることが難しいです。

例えば、チンニング(懸垂)は広背筋を鍛える代表的な種目ですが、広背筋を使って身体を持ち上げるという感覚は、チンニングができない方やトレーニング初心者の方にはなかなか分からないと思います。

というのは、以下の2つの理由が考えられます。

  • 身体を持ち上げる動作に肘を曲げる動作が含まれるため、身体を持ち上げるだけの広背筋の筋力があっても、力を込めやすい上腕二頭筋の力に頼って身体を持ち上げている。
  • 身体を持ち上げるための広背筋の筋力そのものが不足しているため、広背筋の力で持ち上げられずに上腕二頭筋の力で持ち上げている。

いずれの理由にしても、結果的に広背筋をうまく使うことができず、上腕二頭筋に頼ってしまうということです。
特に手幅が狭いと、上腕二頭筋の力を使いやすくなるので、さらに二頭筋に頼りやすくなります。

このように、ターゲットとする広背筋を意識してチンニングができないと、広背筋を上手に使えないため、広背筋はあまり発達しません。

では広背筋を意識してトレーニングできるようになるにはどうすればよいかというと、チンニングができるための十分な筋力がないのであれば、まずはラット・マシンなどの重量を調節できるマシンなどを使って、広背筋を意識して使える負荷でトレーニングをするとよいでしょう。
また、引く方向(肘を動かす方向)が変わりますが、ワン・ハンド・ロウなどをするのもよいでしょう。

ジムに行かずに自宅でトレーニングするなら、リバース・スノー・エンジェルやバック・スクイーズをやるとよいでしょう。
やり方については、このページでは解説しません。インスタグラムの投稿で解説しているので、見てみてください(露骨な宣伝)。

そしてフォローしてくれてもいいんですよ?

逆に、胸などの身体の前側は意識しやすいため、トレーニングもしやすく、成果も出やすいです。そして、見た目の変化も認識しやすいです。

また、日本人の骨格の特徴により、身体の前側の筋肉が発達しやすいという特徴もあります。

トレーニングの成果を実感するのは、数値(扱う重量や回数、体重など)や見た目ですが、実感できると楽しくなってモチベーションも上がり、さらにがんばれると思います。

先に書いたように、身体の前側は鍛えやすく成果も実感しやすいことから、特に男性のトレーニング初心者の方は、前側ばかりを鍛えがちになります。逞しい胸板にしたくてベンチ・プレス、力こぶを大きくしたくてカールをする男性は多いですよね。

女性の方は、お尻を引き締めたいという方が多いので、身体の裏側であるお尻を鍛えることも多いですよね。お尻をトレーニングするのはとてもよいです!
背中やハムストリングスもトレーニングできれば、さらによいです(^^)

身体の前側ばかり鍛えて裏側を鍛えないと、前側は発達しているけれど、裏側は貧相という、非常にバランスの悪い身体になってしまいます。
また、上半身だけ鍛えて下半身を鍛えない場合でも、同様にバランスの悪い身体になってしまいます。

筋肉のつき方のバランスが悪いと、姿勢が悪くなる、腰痛になるなどの健康上の問題も生じるでしょう。

ということで、バランスよく鍛えるために、意識しづらい身体の裏側は前側の3倍鍛えましょう。

また、あらゆるスポーツにおいて、背中、尻、ハムストリングスはパフォーマンスアップのために非常に重要なので、スポーツをしている方なら、競技力向上のためになおさら裏側を鍛えましょう。

ちなみに、私自身は、極端に背中を重視して、前側を軽視してやらなくなったため、逆にバランスが悪くなりました(笑)。
そのため、現在は前側も少しトレーニングしています(^^;)

ボディメイクのためにも、健康のためにも、バランスよく鍛えましょう(笑)。

まとめ

  • 筋肉は、収縮して力を発揮する。筋の長さが変わらなくても、収縮すれば力を発揮する。
  • 筋トレは、ターゲットとする部位の筋肉を意識して動かす(収縮させる)ことがとても大切。
  • 筋トレは、ターゲットとする部位の筋肉を鍛えるためにどのような動きをすればよいかを考えることもとても大切。
  • 筋肉に「力を込めている」という感覚は、認識しやすい部位としにくい部位がある。
  • 日本人は、その骨格の特徴もあり、身体の表側にある筋肉は発達しやすい。
  • 身体の裏側にある筋肉(特に広背筋)は、意識することが難しく、鍛えることが難しい。
  • なので身体の裏側は表側の3倍鍛えましょう。
  • かといって表側をまったくやらずに裏側だけやっても、バランスは悪くなります。
  • そんな偏った鍛え方をしてバランスが悪くなったのが私です(^^;)
  • ボディメイクのためにも、健康のためにも、上下左右表裏バランスよく鍛えましょう。
  • スポーツの競技力向上目的なら、背中・尻・ハムストリングスをしっかり鍛えましょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました